1万年後のwhywaita Advent Calendarに想いを託して
whywaita Advent Calendar 2025 23日目です。 10周年すごいですね。
昨日は nersonu -sanの 15〜20?年ぶりくらいに志摩スペイン村に行きました でした。 志摩スペイン村、自分はCMしか知らないのでちょっと行ってみたいですね。 関西からだと比較的行きやすそうなので小旅行に良さそうです。
whywaita Advent Calendarも10周年おめでとう御座います。 10周年ということで、毎年 n+1 周年と、単調に増えていっていますね。 つまり、数学的帰納法によると、20周年もあるし、30周年もあるという事です。 そして、すこしnを大きくすると1万周年もあるという事ですね。 そしてWhywaita Advent Calendarがあるという事は、きっと、Whywaitaも永遠なのでしょう。
1万周年もあるという事は、1万年後のWhywaita Advent CalendarのauthorやWhywaitaに夢を託せるという事です。
長年の疑問
川魚で代表的な魚といえばなんでしょう? 日本ではアユやニジマス、オイカワ、ナマズなどが代表的な物として思い浮ぶのではないかと思います。 しかし、これらの川魚について疑問に思う事があります。
なぜ、これらの川魚が複数の河川に存在するのだろうか?
生物には固有種という概念があります。 固有種とは、生存に適した環境を見つけたために、移動を辞めてある地域のみ生息する事になった種類の生物の事です。
河川に存在する淡水魚を考えてみると、淡水魚は、海水で生存する事は難しいです。 そのため、基本的に淡水魚は河川の水系にのみ移動可能であるはずです。 しかし、 多くの淡水魚は複数の河川に存在 します。 代表的な川魚と聞いてイメージが出来るという事からも多くの川に同じ種類の魚が存在する事はみんな知っての通りなのでしょう。
理解が容易な物として、多くの川がそれぞれで繋がった事があるため、川魚が共有されているという説があります。 例えば、琵琶湖という巨大な湖があります。 琵琶湖は日本で最も古い湖の一つと考えられており、琵琶湖はかつて、今よりも南に存在し、その後、北上し現在の滋賀に存在している形になったと言われています。 そのため、琵琶湖から海に水が流れる経路というのはその時々で変化して、旧琵琶湖水系と考えられる地域に同様の魚の生態系を共有していると考える事は出来ます。 しかし、これは一部の川の話であります、例えば、オイカワは九州北部から関東地方、四国の北部まで幅広い地域で生息しています。 これは本当に、川の移動だけで解決出来る話なのでしょうか?
また、この話が本当だとすると、逆に現代ではこのような事が発生するのだろうか? 過去には暴れ川とよばれる、川が移動するという事が多く発生していました、 それにより、複数の河川が一時流れを共有するという事も現代よりは多く発生したのだと思います。 しかし、現代では、河川の整備が多く行われており、川が移動するという事が希になっています。 つまり、河川での、淡水魚の共有が発生しにくい環境になっていると言えるでしょう。
そうなった時に、 固有種 についての考えに戻るとすると、固有種とは、ある場所から移動しなくてよくなった種類です。 河川が混じり合う事が無くなったため、移動しないのではなく、淡水魚は移動という事が難しい状況になっています。 これはつまり、未来では、全ての河川毎に固有種が存在する、という真に多様性のある時代が来る可能性が考える事が出来ます。 未来の淡水魚水族館が楽しみになってきますね。
また、現代でも、姿形が似ているだけで、河川毎に実は別の種類の魚というのも多く居たりするのだろうか?という疑問も発生すると思います。
ぜひ1万年後のwhywaita Advent Calendarのauthorには調査をお願いしたいです。 なぜ、1万年後なのかというと、これは世代交代の早い魚類などにより固有種が生れる時間スケールがおおよそ数千年から数万年とされているからです。 河川の工事が1万年維持されていれば、世界中の川で固有種が産まれているはずです。 ぜひ、どのくらい固有種に分かれているのか、確かめて下さい。
現実的な話
と、ここまで、妄想を語って終わるのも、whywaita Advent Calendar的には良いと思うのですが、現実的な話をしたいと思います。 そもそも、魚の分布の謎はあの、ダーウィン先生が考えた説があります。 そう、きっと、ダーウィン先生も謎に思ったはずなのです。 ダーウィン先生が考えた説は、付着による分布です。 魚類の卵は粘膜が付いており水草や岩などに付着して孵化をまちます。 この時に、水鳥の足や羽に粘着質の魚卵が付着して運ばれる付着散布という可能性を指摘して、長らく有力な説と考えられてきたという歴史があります。 この説は近年まであくまで仮説で実際の調査などが行なわれてきたという状態ではありませんでした。
しかし、2019年から水鳥による魚類の散布の可能性が示唆される研究が多く報告されています。
2019年に、乾燥に耐性があるメダカ類の卵を白鳥類の糞から発見された事を元に、飼育下での実験を行ないました1。 これによると、乾燥に耐性のあるメダカ類の卵650個を食べさせそのなかから5個、約1%が48時間以内に回収された糞から発見され、そこから3個が発生し、1個から孵化した事が報告されています。 これにより、鳥と魚類の種類によっては、鳥によて魚類が散布される事が初めて実験として確かめられました。
そして、その翌年の2020年には、乾燥に耐性のあるメダカ類ではない、コイ類とフナ類についても報告されています2。 この実験では、コイ類とフナ類の卵それぞれ500個を、マガモ類に食べさせててその糞を確認しました。 その結果、8羽中6羽の糞から合計18個の無傷な卵が回収され、そのうち12個に胚の生存が確認されました。 そして最終的にコイ1個とブナ2個の卵が孵化したとレポートされています。
さらに、2024年に、メダカやコイ、フナだけではなく他の種類の魚類もマガモ類に食べさせた実験が報告されています3。 この実験では、9目9科の魚類の卵をマガモ類に食べさせて糞を確認するという実験を行いました。 この結果、5種の卵の生存が確認され、そのなかからさらに2種の卵が羽化しました。 これにより、魚の卵が消化されずに水鳥により散布されるというのは一部の魚類の特権ではない事が示唆されています。
糞による散布だけではなく、ダーウィン先生が考えていた、付着による散布も近年調査されています。 2024年に、日本のメダカを利用した調査が行なわれました4。 この実験では、メダカが水草に付着するという性質を前提として調査が行なわれています。 まず、水鳥の観察として観察用の水草を容易して、水鳥が足に付着させて別の水場に運ぶ事を確認しました。 そして、メダカの卵の空気耐性を確認しました。 実験室内ではありますが、16時間程度はメダカの卵は水中にいなくても大丈夫なようです。
まとめ
となまぁ、このようなかたちで、魚類の鳥類による散布が現実的なだという事が示されてきました。 しかし、まだ、自分は未来に全ての河川で、全ての川に固有種が居るという楽しい未来を捨て切れていません!!!!
1万年後の、whywaita Advent CalendarのauthorやWhywaitaを信じています。 ぜひ確かめて下さい。
最近は情報科学よりも動物の生態に興味があります。 3月に 日本生態学会の大会が京都であるみたいです。 丁度、11月に京都に引越した所なので、ちょっと予定を確保して参加したい所です。
明日は karamaru -sanです。
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Killifish eggs can disperse via gut passage through waterfowl https://doi.org/10.1002/ecy.2774 ↩
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Experimental evidence of dispersal of invasive cyprinid eggs inside migratory waterfowl https://doi.org/10.1073/pnas.2004805117 ↩
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Bird‐mediated endozoochory as a potential dispersal mechanism of bony fishes https://doi.org/10.1111/ecog.07124 ↩
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Passive dispersal potential of medaka eggs by attaching to waterbirds https://doi.org/10.1007/s00114-024-01935-3 ↩